前提として、教師というのは素晴らしい職業であり、学歴で判断するべきではありません。
しかし、ネット上では「教員は低学歴」というコメントも散見されます。
本記事では、本当に教師は低学歴なのかを統計データと早稲田教育学部出身の教職履修生への取材をもとにまとめました。
教師は低学歴が多い!?
教師は低学歴が多いのか、統計データを用いて見ていきましょう。
教員就職者が多い大学について
東洋経済オンラインの『教員就職者が多い大学トップ200ランキング(2018年掲載)』の中から、上位30大学をピックアップし、その偏差値もまとめました。
順位 | 大学名 | 偏差値 |
---|---|---|
1位 | 大阪教育大学 | 50〜60 |
2位 | 愛知教育大学 | 50〜63 |
3位 | 北海道教育大学 | 52〜61 |
4位 | 文教大学 | 45〜57.5 |
5位 | 広島大学 | 50〜60 |
6位 | 東京学芸大学 | 52〜67 |
7位 | 福岡教育大学 | 48〜58 |
8位 | 日本大学 | 45〜63 |
9位 | 埼玉大学 | 51〜65 |
10位 | 岐阜聖徳学園大学 | 45〜63 |
11位 | 千葉大学 | 51〜60 |
12位 | 日本体育大学 | 48〜58 |
13位 | 茨城大学 | 50〜59 |
14位 | 静岡大学 | 51〜60 |
15位 | 武庫川女子大学 | 45〜64 |
16位 | 岡山大学 | 55〜59 |
17位 | 宮城教育大学 | 51〜56 |
18位 | 佛教大学 | 45〜66 |
19位 | 明星大学 | 45〜59 |
20位 | 関西学院大学 | 62〜69 |
21位 | 岐阜大学 | 52〜59 |
22位 | 國學院大学 | 49〜71 |
23位 | 新潟大学 | 50〜56 |
24位 | 常葉大学 | 45〜57 |
25位 | 山口大学 | 49〜56 |
26位 | 熊本大学 | 51〜59 |
27位 | 玉川大学 | 45〜67 |
28位 | 都留文科大学 | 57〜64 |
29位 | 立命館大学 | 61〜75 |
30位 | 早稲田大学 | 72〜84 |
教師に就職する人の出身大学上位30を見てみると、偏差値帯は50〜60が一番多いことがわかります。
当サイトでは低学歴を最終学歴が「偏差値50未満の大学卒」としているので、その基準に当てはめると、教師は決して低学歴ではありません。
しかし、高学歴ではないのも確かです。
教師は低学歴ではないが、高学歴とは言えない。
低学歴でも教師になれる?
教師になるための流れは以下の通りです。
①大学や短大などで「教職課程」を履修し、「教員免許状」を取得する
②「教員採用試験」に合格する
取得する教員免許状もいくつか種類があります。
✔️普通免許状…「一種免許状(大卒)」・「二種免許状(短大卒)」・「専修免許状(院卒)」に分かれる。
✔️特別免許状…特定の分野において豊富な知識や経験を持つ人が取得できる免許で、普通免許状がなくとも先生として働くことができる。
✔️臨時免許状…臨時的に採用される時に与えられる免許状。助教諭としてのみ働くことができる。
ここまで見ると、大学・短大以上の学歴がないと教師にはなれないように見えますが、実は高卒以下でも教師になることができます!
低学歴でも教師になるには、「教員資格認定試験」を受験し、合格する必要があります。
そして取得できる免許は以下の通りです。
✔️幼稚園教諭の二種免許状
✔️小学校教諭二種免許状
✔️特別支援学校自立活動教諭一種免許
ただし、「教員資格認定試験」を受験するには、「高卒」であることが条件なので、中卒であれば「高校認定試験」に合格する必要があります。
低学歴(高卒以下)の場合は教師になることはできるが、取得できる免許が限られる。
また、中卒の場合はまず「高校認定試験」に合格する必要がある。
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早稲田大学教育学部の教員事情
早稲田大学は、教員就職者が多いランキングで30位になり、その中でも圧倒的な偏差値を誇り、世間一般的には高学歴として認識されています。
早稲田の教育学部では、小学校・中学校・高等学校・特別支援学校などの教員養成を目的にしながらも、教員免許の取得を卒業要件にしていません。
教職課程の履修も必須ではないので、そもそも履修者は少ないです。
早稲田の教職に関する統計データ(2021年)によると、
教育学部の教職課程履修者数:921人
教育学部の一種免許状取得者数:147人
と教職課程を履修する人の中でも、教員免許を実際に取得する人はその2割にも満たないです。
早稲田教育学部の教員になる割合は1割満たない
次に、早稲田教育学部の就職先を見て見ましょう。(早稲田大学教育学部の進路状況より)
教育学部ではあるものの、なんと「教員・教育」に就職した人の割合は1割にも満たない結果になりました。
教員・教育の内訳をさらに見ていくと、
・株式会社日本入試センター(SAPIX)
・東京都教員
・神奈川県教員
・埼玉県教員
・私立高校教員 など
がありました。
ここまで教員が少ない理由としては、早稲田大学卒だと、教員よりも労働環境が良く、給料が高い会社に採用される確率が高まることが挙げられます。
早稲田大学教育学部で教職を履修した人の声
次に、実際に教職を履修した人・教員になった人の声を紹介します。(※個人の意見です)
早稲田教育学部を出て、母校である私立高校に就職。母校はもともとかなり有名な進学校のため、就職した教師もそこまで学歴は低くありませんでしたが、とにかく仕事がブラックで、辛すぎて退職しました。
もう二度と教員をやりたくありません。
小学校の先生になることが夢で、早稲田教育学部初等科に入学しました。教職も授業もゼミもかなり頑張りましたが、教育実習で周りの教師のレベルの低さに驚愕し、教師を断念しました。
学歴が低いだけでなく、価値観も合わず驚きました。本当に教師になりたいのか?と思うほど適当な人が多かったです。
こんな低学歴な人たちと仕事したくないと思い、教育関係の企業に就職しました。
そもそも教育学部でも教職を取るのはほんの一部ですよ。
しかも学年が上がるにつれて、どんどんやめていきます。最終的に介護実習前で本気度の低い人はさらにやめていきます。
私は親との約束があって教員免許を取りましたが、最初から教員になるつもりはなく、金融に就職しました。
労働環境が悪いのに、わざわざなるのはよっぽど教師になりたかった熱心な人だけです。
そんな熱心な同級生でも、教師になった途端病んでいる人が多いです。
教育学部を出てから、地元(田舎)の私立高校に就職しました。
そもそも日々の業務・部活動の対応でかなり心身ともに削られています。
加えて周りの教員のレベルの低さが本当に嫌です。会話のレベルも低く、品のかけらもありません。
生徒の前は教師という立場もありまだマシですが、職員室内でも会話や飲み会での会話は本当に聞くに堪えません。
こんな低レベルの人たちがなぜ教員になれたのか不思議です。
高学歴と言われる人の中では、教師は低学歴の職業と思う人もいる。
教師は学歴云々よりも、人徳者であるべき
・教員就職者の多い大学の偏差値帯は50〜60で、決して低学歴ではない。
・低学歴(高卒以下)の人でも「教員資格認定試験」を受けることで、教員になることができる。(種類は限られる。)
・高学歴の人はそれよりはもっと高収入で労働環境の良い企業を求めるため、教師にあまりなりたがらない。
教員の労働環境の悪さからより一層優秀な人材が離れていきます。その結果どんどん低学歴化する可能性はあります。
しかし、低学歴だから悪いわけではありません。
教師にとって知識があることも大事ですが、生徒との向き合い方・人となりを教える人徳者であることが何よりも大切なことです。
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